SHC オンライン登録
「小児期のウイルス性肝炎の病態解明と治療の標準化に関する研究」

「日本人小児B型肝炎ウイルス慢性感染患者の感染経路や遺伝子型の検討」

 私たちの研究班は、厚生労働省の研究費を獲得して2011~2013年までに500例以上の小児B型肝炎ウイルス慢性感染患者のデータベースを作りました。
 このデータベースを使って、11医療施設から集められた20歳未満で小児B型肝炎ウイルス慢性感染と診断された430名の解析を行いました。430名は1976~2010年に出生していました。この間の感染経路やウイルスの遺伝子型の推移を調べました。
 430例のうち、母子感染は71%、水平感染が14%、輸血3%、感染経路不明が13%でした。1986年より母子感染予防対策事業が開始された後の変化に注目すると、1991~1995年に生まれた児では母子感染の割合が62%、2006~2010年に生まれた児では86%になっていました。これは母子感染者数が増えたのでは無く、輸血や感染経路不明例が減少したことで、相対的に母子感染の割合が高くなったと考えられます。B型肝炎ウイルスの遺伝子型はA型3%、B型9%、C型86%、D型2%、F型1%でした。この割合は大きな変化はありませんでした。
 母子感染予防対策事業が実施されている現在でも、母子感染はB型肝炎ウイルスの主要な感染経路となっています。母子感染予防対策の徹底が小児B型肝炎ウイルス慢性感染患者さんを減らすのに重要だと考えられます。

【出典】
  • 筆者:Komatsu H, Inui A, Fujisawa T, Takano T, Tajiri H, Murakami J, Suzuki M.
  • タイトル:Transmission route and genotype of chronic hepatitis B virus infection in children in Japan between 1976 and 2010: A retrospective, multicenter study.
  • 掲載雑誌:Hepatol Res. 2015 Jun;45(6):629-37.
  • Pubmedリンク先