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「小児期のウイルス性肝炎の病態解明と治療の標準化に関する研究」

「日本の小児B型肝炎ウイルス感染の自然史:母子感染と水平感染の比較」

 以前の日本では輸血や母子感染によるB型肝炎ウイルス感染が多かったのですが、近年は水平感染が問題になっています。私たちは全国規模の小児ウイルス性肝炎データベースを使って、感染経路別に小児B型肝炎ウイルス感染の自然史を検討しました。

 私たちは平成23年から26年にかけて全国18施設より収集した小児B型肝炎ウイルス感染者548例の疫学データを解析し、母子感染 (381例) と水平感染 (154例)の違いを調べました。

 本研究における母子感染とは、HBs抗原陽性の母から出生し、生後6ヶ月以降にHBs抗原が陽性と定義しました。水平感染とは母親以外のB型肝炎に感染した家族と接触しているか、家族に感染者がおらず感染経路がわからない症例としました。

 ジェノタイプC型が全体の83%を占めていました。母子感染例と比較して、水平感染例はジェノタイプA型、B型が多く、何らかの基礎疾患があり、インターフェロン治療を受けている症例が多かったことがわかりました。

 母子感染例の42%と水平感染例の38%が、15歳までにHBe抗原のセロコンバージョンを起こしていました。肝炎はいずれの年齢でも発症していました。肝炎を発症してから3年後に非活動性キャリアとなったのは、母子感染では26%、水平感染では30%でした。548例のうち、肝細胞癌を発症したのは15例で、14例が30歳までに発症していました。母子感染の発症率は6%、水平感染の発症率は11%でした。肝炎を発症していない症例から肝細胞癌は1例も発生しませんでした。

 この研究は感染経路別に日本国内の小児B型肝炎の特徴や自然史を明らかにしました。B型肝炎感染は肝細胞癌に進展するリスクもあるので、長期間の経過観察が重要です。小児科と肝臓内科が連携して診療していく必要があります。

【出典】
  •  筆者:Takano T, Tajiri H, Hosono S, Inui A, Murakami J, Ushijima K, Miyoshi Y, Etani Y, Abukawa D, Suzuki M, Brooks S.
  • タイトル:Natural history of chronic hepatitis B virus infection in children in Japan: a comparison of mother-to-child transmission with horizontal transmission.
  • 掲載雑誌:J Gastroenterol. 2017 Feb 9. doi: 10.1007/s00535-017-1315-4.
  • Pubmedリンク先