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「小児期のウイルス性肝炎の病態解明と治療の標準化に関する研究」

「最近30年の小児C型肝炎ウイルス感染の疫学的特徴:自然歴と肝組織像に関する全国調査」

 日本における小児期のC型肝炎ウイルス感染症の有病率は低いため、大規模疫学調査はこれまで行われていませんでした。私たちは平成24年から28年にかけて全国65施設より収集した小児C型肝炎ウイルス感染者348例の疫学データを解析し、近年の日本国内における小児C型肝炎感染の疫学的特徴を明らかにしました。

 本研究ではHCV-RNA陽性、1986~2015年出生、17歳未満で診断、追跡期間1年以上、HIVとHBVの併存感染なし、以上を満たす症例を解析対象者としました。出生年別に、1986~1995年、1996~2005年、2006~2015年と10年ずつ3群に分け比較検討しました。また、肝生検が行われた症例は、初回無治療時の肝組織像に関して新犬山分類を用いて詳細に検討しました。

 男性154例と女性194例、最終受診時の平均年齢は10.9歳でした。診断時の平均年齢は、1986~1995年出生では6.4歳、1996~2005年出生では3.6歳、2006~2015年出生では1.1歳と有意に低下していました。感染経路は母子90%、水平1%、輸血5%、不明4%で、近年は特に母子感染の割合が増加し、2006~2015年では99%に達していました。Genotype1型が42%、2型57%、3型1%と小児では既に2型が最多で、近年は特に1型が減少し、2型が増加している傾向が見られました。

 54%が何らかの治療を受けており、最終受診時の臨床診断は自然消失9%、キャリア34%、慢性肝炎4%、SVR*40%、治療中5%、不明8%、肝硬変/肝癌0%でした。

 147例に肝生検が行われ、初回実施時の平均年齢は8.9歳、肝組織の線維化は、F0 33%、F1 58%、F2 9%で、F3-4は0例でした。

 この研究は近年の日本国内の小児C型肝炎の感染経路やgenotypeの傾向、予後等を明らかにしました。これらのデータは小児ウイルス性肝炎予防や診療に携わる医療者、患者や家族にとって有用な情報となるでしょう。

 *SVR:Sustained Virological Response(ウイルス学的著効達成)

【出典】
  • 筆者:Mizuochi T, Takano T, Yanagi T, Ushijima K, Suzuki M, Miyoshi Y, Ito Y, Inui A, Tajiri H.
  • タイトル:Epidemiologic features of 348 children with hepatitis C virus infection over a 30-year period: a nationwide survey in Japan.
  • 掲載雑誌:J Gastroenterol. 2017 May 31. doi: 10.1007/s00535-017-1351-0.
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